May 22, 2024

手積みで1人17トン・・・法施行後もドライバーを取り巻く過酷な労働環境はなぜ変わらないのか



Published April 5, 2024, 12:02 p.m. by Courtney


ドライバーの労働時間が制限されることで、輸送量の減少が懸念される物流の「2024年問題」。4月1日から法律が施行され、いよいよ新しいルールがスタートしましたが、取材で見えてきたのはドライバーの労働環境を改善するという理念とはほど遠い現実でした。

■ドライバーの男性「給与がどういうふうになるのか、走っていくらの給料だから、走らなければ給料にもならないですからね」

「働き方改革関連法」が施行され、制限のなかったドライバーの残業時間は、年間960時間までと上限が設けられました。厚生労働省によりますと1日の労働時間は原則12時間までとなります。また民間のシンクタンクの調査で、輸送力の低下により2030年には北海道で3割近い貨物が運べなくなる可能性があると指摘されています。

十勝の音更町にある京北運輸は従業員28人、車両72台を所有する中堅の運送会社です。冷凍・冷蔵食品を札幌圏や関東圏に届けています。

午前8時、1台のトレーラーが出発しました。芽室町の工場で商品を積み、その後、石狩市の倉庫へ運びます。工場に到着した斉藤さん、なかなか積み込み作業が始まりません。

■京北運輸斉藤彰範さん「ちょっと順番待ちで1時間から1時間半待ち時間です」「荷待ちってやつですね」

午前9時半、ようやく積み込み口にトレーラーをつけ、荷台に乗り込みます。トレーラーの中は-25℃です。フォークリフトでトラックまで運ばれた貨物を一度ばらし、一つ一つ手で積みなおすいわゆる「バラ積み」を行います。休憩なく作業を続け、終わったのは12時半。1個10キロの段ボールをおよそ1700箱、17トンを1人で3時間かけ積み込みました。多い時は20トンを積み込むと言います。

今回の作業では、荷待ちに1時間、バラ積みに3時間かかりました。さらに配送先でも通常1時間ほどの荷待ちがあり、荷下ろしもひとつひとつ積みなおすため3時間がかかりました。1日の労働時間である原則12時間にあてはめると、実際に走れる時間はわずか4時間程度ということになります。

■京北運輸森岡修平社長「1人の人間がね、1日20トンのものを持つっていうのは普通のことではないと思う」「20トンを積んでさらにそこから何時間もかけて走って目的地まで行くというのは相当な労力」

この日、京北運輸の別のトレーラーが向かったのは大手乳製品メーカーの工場です。倉庫にトレーラーをつけましたが、ドライバーは運転席に座ったままです。積み込みは荷主側がフォークリフトを用意し、貨物をパレットに乗せた状態のまま、トラックの中まで運びます。作業は30分あまりで終了しました。

■京北運輸村谷力さん「よつ葉さんのリフトマンが全部積んでくれるんですよ」「うちらはだから待ってるだけなんですよね」「楽ですよね。バラ積みなんて話にならないですよ」

パレットとは荷物を積むときの土台のことです。荷主と受け荷主が同じ規格のパレットを使う場合はトラックにパレットのまま積むことができます。一方、荷主と受け荷主のパレットの規格が違う場合、一度ばらしてトラックに積み、配送先では、受け荷主側のパレットの基準にあわせて積みなおします。この作業をトラックドライバーが何時間もかけて行う現状は1日以降も変わっていません。

■運輸森岡修平社長「本当に僕らの仕事なのかっていうのが疑問」「下請け的な要素が強い業界なので、今まで強く言うとじゃあ業者変えるからいいよって簡単に言われてきた」

国交省は「T11型」と呼ばれる1.1m四方のパレットにそろえようと呼びかけています。四つ葉乳業はドライバーの負担を減らすため早くから「T11型」パレットを導入しました。しかし国の要請にこたえるには、荷主だけでは解決できないとしています。

■よつ葉物流大友貴樹常務「なかなか難しいですよ。やっぱり荷受けされる方たちのところでは、11パレットじゃないパレットで入荷してますっていうところもありますので、なかなかこちらから言っても受け入れてもらえないっていうのが現状です」

2024年問題を受けて対策を講じた企業もあります。江別市にある道内最大級の物流倉庫「北海道ロジサービス」です。一日で最大20万個の荷物を受け入れ・発送を行っています。

■北海道ロジサービス高橋徹専務「荷降ろしに関してはできる限り、いわゆるベタ積み(バラ積み)みたいなことをしないで、降ろしやすい器具を使って納品するなどの取り組みをしています」

この倉庫では、規格の違うパレットでも受け入れる仕組みができています。しかし荷主や運送会社に配慮した対応がとれる企業は多くありません。設備投資にお金がかかるとして規格の統一も進んでいないのが現状です。

■京北運輸森岡修平社長「各自それぞれ自分たちの好きなように(パレットの)形を作っているので、それに僕らが合わせなきゃいけなくて」「あまりにもしわ寄せがね、全て運送業界に来る。パレットにしてください。これはもう僕ら主導ではできないことなので、お客さんがやってくれないと時間を縮めれないですよっていうことしか残ってないんです」「その辺を荷主さんが理解していただけない限りは、どんどん、どんどん(運送業は)縮小していく業界になっちゃうのかなとは思います」

私たちの日々の暮らしになくてはならない物流。買いたいものがあっても届けてくれる人がいない、商品棚に並んでいない。そんな将来がせまっているのかもしれません。

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